日本は2013年の平均寿命が女性86.61歳(世界1位)、男性80.21歳(同4位)となり、世界でも類を見ない高齢化社会となりつつあります。75歳以上の後期高齢者数が増加し、2055年には全人口に占める割合は25%を超える見込みです。当然、要介護高齢者の増加が予想されますが、現在は施設中心の医療・介護であり、平均入院期間はアメリカの5倍、ドイツの3倍です。また自宅で死亡する人の割合は、1950年の80%から2010年は12%にまで低下しています。しかし、厚労省の調査によると、自宅で療養し、必要になれば医療機関等を利用したいと回答したものを合わせて、60%以上の国民が「自宅療養したい」と希望しています。また要介護状態となっても、自宅や子供・親族の家での介護を希望する人が4割を超えています。このため厚労省は、重度の要介護者となってもできる限り住み慣れた地域で必要な医療・介護サービスを受け、安心して自分らしい生活を実現できる社会を目指すという方針を打ち出し、在宅医療・介護の推進施策を講じています。
在宅医療においては、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、リハビリ職、ケアマネジャー、介護士などの医療福祉従事者がお互いの専門性を活かしながらチームとなって患者・家族をサポートして行く体制を構築することが重要です。こういった状況の中で、在宅訪問歯科診療は在宅主治医(医師)から最も必要とされる診療科となっています。